■尿路結石症について■

                                                       泌尿器科部長 工藤 治

1.概略

尿路結石症とは、尿路(腎杯、腎盂、尿管及び尿道)に結石が存在する状態の総称で、上部尿路結石(腎結石および尿管結石)と下部尿路結石(膀胱結石及び尿道結石)に分類されます。

部位別では上部尿路結石が95%以上を占めており、男女比はほぼ2.51となっています。今日のわが国における尿路結石の発生頻度は昭和20年代初期に比べると約4倍増加しています。男性11人に1人、女性26人に1人が一生の間に一度は罹患することになります。

年齢別の発生頻度は1965年には2040歳代にピークがありましたが、1995年には3060歳代にかけての幅広いピークに移行してきています。

 

 

2.尿路結石症の症状

 

尿路で結石の存在する部位で症状が異なります。

代表的な症状は結石が尿管内に嵌入すると、側腹部から背部にかけて激しい疝痛が出現します。

疝痛の多くは悪心、嘔吐、冷汗、腹部膨満などの自律神経反射による症状を伴います。

痛みと嘔気、嘔吐を伴うことより、患者さんは内科を受診することが多いのですが、尿路結石の疑いがあるときには泌尿器科に紹介されます。

 

 

3.尿路結石の存在診断と初期治療

 

尿路結石と診断された後、尿路閉塞による疝痛発作は患者さんの心身に大きな負担となり、疼痛に対する処置が治療の第一選択です。

 

@尿路結石の初期評価

病歴(薬歴を含む)を聴取し、身体所見をとり検尿、採血、腎膀胱部単純X線撮影、腹部超音波を行います。

 

A疼痛に対する処置

非ステロイド性鎮痛薬(坐剤)、鎮痛鎮痙剤、非麻薬性鎮痛剤を使います。

 

B治療方針

長径5mm以下の結石は飲水、運動で自然排石が期待できます。

 

 

4.治 療

 

治療手段には開放(開腹)手術、体外衝撃波砕石術ESWL、内視鏡的治療があります。大きい結石に対しては、ESWLと内視鏡治療の併用療法が必要となります。

過去20年間のESWL、内視鏡の発展と普及で開放手術は第一選択の治療法とはなりません。

 

@体外衝撃波砕石術(ESWL

ESWLは衝撃波エネルギーを体内の結石に照射し、結石を砕石する治療法です。

砕石された生じた砕石片は尿と共に体外に排出されます。

当院では平成137月にシーメンス社の電磁変換方式の器機が導入され、平成14年末までに134例の治療を行い治療効果を認めています。麻酔は施行せず、鎮痛剤の投与で治療を行い、一泊二日の入院期間です。もちろん保険診療で、治療を受けられます。

 

A経尿道的尿管結石砕石術(TUL

経尿道的に内視鏡(尿管鏡)を尿管内に挿入し、砕石あるいは摘出する治療で麻酔下に行い、45日の入院を要します。下部尿管(膀胱に近い)に対してはESWLでなく、TULを行います。当院では器機を導入した平成14年から行い、ESWLとの併用治療を行うことができるようになっています。

 

 

5.再発予防

 

再発予防は結石成分に従った泌尿器科医が行う治療と、結石成分にかかわらず試みられる方法に分けられます。

結石成分に従った治療は、泌尿器科医に相談してください。

以下は結石成分に関係なく、注意して頂きたいことを列記しています。

 

  @水分の摂取:2000mL以上の尿量を出せる位に飲水する。補給源としては清涼飲料水、甘味飲料水、コーヒー、紅茶、アルコールの過剰摂

            は避ける。

            水道水、麦茶、ほうじ茶が適しています。

 

  A食事の摂取:バランスのとれた食事

   T 動物性蛋白質の過剰摂取制限

   U 一定量のカルシュウム摂取

   V 蓚酸の過剰摂取制限(ほうれん草、たけのこ、チョコレート、紅茶)

   W 塩分過剰摂取制限(10/day以下)

   X 炭水化物の摂取(穀物摂取のすすめ、砂糖の過剰摂取制限)

   Y 脂肪の過剰摂取の制限

   Z クエン酸の適量摂取(果物、野菜等)

 

   尿路結石の発症および予防には水分摂取の他は、成人病予防に共通するバランスの良い食事と運動がすすめら   れます。

 

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